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『蒼衣の末姫』


『蒼衣の末姫』あらすじ

地を這い空を飛び、甲殻で身を固め無数の脚で爪でひとを屠る巨大な怪物、冥凮(みょうふ)が跋扈する世界。翻弄されるだけだったひとは壁を築き堀を巡らせた城塞都市〈宮〉を造り、宮ごとに防衛、工業、商業などと機能を特化することで辛うじて冥凮の脅威に耐えていた。
十六歳の少女キサは、ひとを圧倒する冥凮を滅ぼすことができる能力を有する蒼衣(そうい)の血を引きながら、僅かな力しか持たない役立たずと蔑まれ、冥凮を集めるための餌として最前線に連れ出されていた。だがある日、冥凮の前例のない攻勢によって廃滅は失敗に終わり、キサは敗走中に川へと落下してしまう。
下流へひとり流されたキサを救ったのは、生(いくる)という十五歳の少年だった。生もまた大人たちから無能だと切り捨てられながら、命を危険に晒す仕事を毎日続け、懸命に生きてきた存在だった。
自分の命を捨ててでも、ひとという種を繋ぐことを考えねばならない世界で、囮の姫と見棄てられた少年は手を取りあい、蔑まれてきた力と心とを振り絞って、襲い来る脅威、そして課せられた運命に立ち向かう。
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